最後の? たてのい(08-07-01 TUE.)

最後の? たてのい(08-07-01 TUE.)_c0084908_237787.jpg日照時間618分) ま〜つか〜ぜ〜さぁ〜わぁ〜ぐぅ お〜かのぉ〜う〜え〜 古城よ一人何偲ぶ(古い!)・・・って、唄いたくなるような景色でしょう。
 千秋公園二の丸から本丸への階段です。風は、「騒ぐ」ほど吹きませんでしたが、日ざしの下を歩いて少し汗ばんだ身体には、この木陰の涼しさはホントにい〜い気持。今日も、爽やかな一日でした。
 それにしても、階段の手摺。身体の弱い方には必要なのですが、もう少し景色に邪魔をしない設置の方法がなかったのかなぁ。

 さて、今日は昨日のお約束通り、美味しくて惜しい(?)お酒のご紹介。『たてのい・「純米」「山廃純米」「純米吟醸」 19BY 中取り原酒 瓶囲い』です。
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 「たてのい」純米シリーズは、去年も旨かったし、今年の新酒生も美味しかった。そして、今年の火入れ酒も絶対に美味しいはずなのは充分に分かりますが、「惜しい」ってどういうこと?

 ・・・実は、「たてのい」の醸造元である横手市の沼館酒造が、突然に蔵を閉めることになったのです。
 閉めるということは5月の連休後には知りましたが、昨日、蔵からの正式な閉鎖の連絡があったので、こうして沼館酒造最後のお酒をご紹介しながら、皆様にお伝えする次第です。

 蔵からの連絡には、「・・・当社はこの度諸般の事情により、去る6月23日株主総会において、会社の解散を決定いたし・・・」という、簡単な文章の印刷物、一枚。百年近くの歴史をもち、戦後の企業整備の際も操業工場として経営を続け、いっときは7千石を超える石数を誇った蔵としてはあまりにも寂しい最後のように思えました。そんなものだよ、と云われればそれまでですが・・・残念です。

 ということで、2月、3月、4月とご紹介した新酒生酒が終わり、そろそろ火入れの酒が入荷してくる頃と心待ちにしていた矢先に、蔵からの出荷が一切ストップされてしまったのです。

 しかし、「たてのい」はここ数年の間に、当店にとっても、飲食店さんや愛飲家の方達にとっても、なくてはならないお酒に急速に成長してきました。
 来年からは「たてのい」をもう飲むことはできないけれど、今年のお酒はまだあるはず。会社が、閉鎖だ、解散だ、清算だとゴタゴタしている間に、中取りや瓶囲いといった素性のはっきりしたお酒はどうなるのだろう。少しでもいいから、素性のはっきりしたお酒を頒けてもらえないだろうか。そして、秋田の沼館に「館の井」という銘酒があったことを一人でも多くの方に記憶してもらわなくては・・・そう思い、ゴタゴタしているのを承知で蔵に問い合わせ、昨年と同じ「中取り原酒、瓶囲い」の「たてのい」純米シリーズ・火入れ酒三種を確保したのです。
 お酒は、6月初めに入荷してきました。それから今日まで、11度前後の大型冷蔵庫で静かに熟成させてきました。

 昨シーズンの火入れ酒の入荷は、純米酒が4月、純米吟醸が6月、山廃純米は10月でした。ですから、今年も純米と純米吟醸はそろそろ飲み頃になっていますが、山廃純米は確かに若いと思います。
 でも、「たてのい」は若い時期から飲み始めても美味しいし、今回の発売に際して行った利き酒でも、充分に旨味はのっていると感じました。もちろん、これから少しづつ熟成を深めて、香味共に今以上に深い味わいになることは、昨年までで実証済み。今飲むも良し、もっと熟成させても良し、です。

 そして、こんな美味しいお酒が来年から飲めなくなるなんて、本当に惜しい。こんな良い酒を造る蔵がなくなるなんて、本当にもったいない・・・残念を通り越した無念さと、日本酒業界が直面している現実の厳しさ、それに対してどうにも出来ない我々の非力さを、強く強く感じながらの利き酒でした。
  
 「たてのい」最後の純米シリーズ、宜しく、宜しくお願い申しあげます。
・19BY 純米吟醸 中取り原酒 瓶囲い 1.8入のみ 2,950円
・19BY 山廃純米 中取り原酒 瓶囲い 1.8入のみ 2,600円
・19BY 純米酒 中取り原酒 瓶囲い  1.8入のみ 2.350円
    *それぞれのお酒の詳細は、お問合せください。
by nbhkkry20 | 2008-07-01 23:12 | たてのい
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