子ども達にとっての『なまはげ』( 2010.12.26 SUN.)


(日照時間・42分
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「なぐ子はいねが~!」「言うごど聞がね子はいねが~!」と大声で脅かし怖がらせるなまはげ。子どもむけの郷土かるたにも、お馴染みなまはげは登場します。
ですから秋田の子ども達は、その怖さを小さい頃からよ~く知っています。
そのことを承知で親たちは「なまはげさんが来るヨ!」と言って子どもを叱ることがありますが、これがまた効果てきめんなんです。

孫達が小さかったころを想い出します。
「だめ!」と親に言われても、「どうして?」を連発する孫娘は
母親に「わからないこと言うと、なまはげさんが来るよ!」と、叱られると「ごめんなさい!もうしません!!」と、自分の要求を大急ぎで取り下げたものでした。
ダメの理由を聞くより、恐ろしいなまはげに、食べられてしまうかもしれない恐怖を、回避するのが先決だと思ったのでしょう。

町に住む子どもたちでさえ怖いなまはげ。
では男鹿半島で毎年、なまはげの洗礼を受ける子どもたちはどんな思いなのでしょうか。

『百聞は一見に如かず』男鹿半島の真山神社にお参りをし、伝承館で男鹿の風習『なまはげ行事』の体験をしてみました。
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大晦日の夜、激しく戸障子を開け放ち、なまはげがやってきた
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四股を踏み、戸や壁をたたき、大きな音で悪霊を払いながら子どもを捜すなまはげ
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家の主人はお膳とお酒をすすめ、なまはげの機嫌をとりなします
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子どもは恐怖で泣き叫ぶのに、親は何故か好んでなまはげ体験をさせたがっているように見えます。

本場男鹿は船川で、小さい頃実際に『なまはげ体験』をしたOさんのとっておきの『体験談』もご紹介いたしましょう。

毎年大晦日が近づくと、こどもたちは落着きません。
恐ろしいなまはげから身を守る場所を考えなければならないと思うと、そのことで頭が一杯になります。
去年も一昨年も、絶対大丈夫と思っていたのに見つかってどやされてしまった。どうしてだろう?
おしいれ、物置、水のはってないお風呂‥‥。
何故か、簡単に見つかってしまいます。

それもそのはずです。
なまはげは、家に入ってくるなりこどもたちの居場所を、こっそり親達から聞き出していたのですから。

その上、[なまはげの中身は近所のお兄さんだ]と知ったO少年や部落の子どもたちの怒りは収まりません。
一挙に反撃しようと、作戦をねります。
なまはげの巡る道を調べ、各家々でふるまわれるお酒で酔いがまわったころを見計らって、落とし穴に落とすという作戦です。

昼間、気づかれないように通り道に、深~い穴を堀ります。
凍てついた道路はコチコチで、穴堀作業は汗ダクです。
それでもなんとか大人がスッポリはいる穴を堀り終え、小枝やわら、雪でしっかりカモフラージュして夜を待ちます。
やがて暗い夜道を千鳥足のなまはげがやってくる。
穴に落ちてあわてもがくのを物陰からしっかり見届けて‥‥
小さな胸の『怒りの炎』を沈めたそうです。


感覚を研ぎ澄まし知恵を搾って、困難に立ち向かう少年たち。
寒風吹きすさぶ闇の中で繰り広げる攻防は、少年たちがなまはげを卒業して大人になっていく為の必要不可欠の『通過儀礼』なのかもしれません。

雪がしんしんと降る夜、少し酔いがまわってきたOさんから聞く
少年の頃の『なまはげ体験』は、何度聞いてもまた聞きたい、冬の夜の楽しみのひとつです。
最近では、妖怪の気配におびえる闇も少なくなり、『恐れを知る』機会がめっきり少なくなりました。
偉大な自然や自然現象に出会った時、
偉大な人やその業績に出会えた時、畏怖の念を抱き恐れを覚える。「そんな心を今でも持てているのか?」自問する‥‥寒さが身にしむ夜にもなるのです。

それにしても最近では、どこの部落でも全戸を回って(重労働の)なまはげを演じる青年が少なくなって大変だそうです。なまはげ行事が、なんとかこれからも続いていくことを願わずにはいられません。
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いえ、いえ。なまはげは間違いなく、結界の向こう真山の山奥から毎年一回、麓の家々にやってくるのです。
大晦日の夜に子どもたちに会うのを心待ちに、今頃きっと、包丁を研いでいるんじゃないでしょうか。(haru)
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<2010年12月~2011年1月の予定>
・12月26日(定休日

・01月01日(元旦お休み致します
・01月02日(初売り 午前10時~午後5時 営業致します
・01月09日()午前10時~午後5時 営業致します
・01月10日(成人の日)午前10時~午後5時 営業致します
・01月15日(臨時休業致します
・01月16日(定休日
・01月23日(定休日
・01月29日(酣々塾の蔵巡り お店は通常営業致します
・01月30日(定休日
by nbhkkry20 | 2010-12-26 22:39 | 秋田のいろいろ
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